0. エグゼクティブサマリー
パール・アビスは今、歴史的なV字回復の真っ只中にある。3期連続の営業赤字から、わずか1四半期で営業利益2,000億ウォン超という見通しへ——その原動力は、7年の歳月をかけて開発されたシングルプレイヤー型オープンワールドAAAタイトルCrimson Desertのグローバル商業的成功だ。市場はこの決算インパクトの大きさを、まだ十分に織り込めていない。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 2026年Q1予想売上高 | 4,000〜4,300億ウォン |
| 2026年Q1予想営業利益 | 1,950〜2,500億ウォン |
| 2026年Q1予想営業利益率 | 48〜52% |
| 2026年通期予想営業利益 | 3,800〜4,500億ウォン |
| 2026年予想EPS | 4,700〜5,500ウォン |
| 適正株価(ベースケース、PER 13倍) | 65,000〜72,000ウォン |
| 適正株価レンジ | 54,000〜95,000ウォン |
| リスク/リターン(57,400ウォン時点) | +24% / -6%(約4:1) |
コア・バリアント・パーセプション: 市場は「400万本売れたゲーム株で、既に材料出尽くし」という見方をしている。しかし実態は異なる。①Q1実績はコンセンサスを約2倍上回る可能性が高い、②500万本達成は事実上確実で600万本への道も開かれている、③現在の57,400ウォンという株価は、中東緊張・投資警告指定といったマクロ・テクニカル要因によるファンダメンタルズ対比の過度な割引を反映している。
1. 投資論文——5つのコア・アーギュメント
アーギュメント1:Q1決算はすでに「確定済み」であり、市場はその規模を正確に反映していない
構造的背景: Crimson Desert は3月19日にリリース。3月31日のQ1締め日までに、累計390〜400万本分が売上計上対象となる。パール・アビスの収益認識は総額法(プリンシパル方式)に準ずる構造で、プラットフォーム手数料は営業費用として個別計上される。
P × Q × C 分解:
| シナリオ | 保守的 | ベース | 楽観的 |
|---|---|---|---|
| Crimson Desert 認識本数 | 380万本 | 400万本 | 420万本 |
| 会計上のASP | 82,000ウォン | 83,500ウォン | 85,000ウォン |
| Crimson Desert 計上売上 | 3,120億ウォン | 3,340億ウォン | 3,570億ウォン |
| 既存事業(Black Desert + EVE) | 930億ウォン | 960億ウォン | 980億ウォン |
| 売上高合計 | 4,050億ウォン | 4,300億ウォン | 4,550億ウォン |
| 営業費用 | 2,100億ウォン | 2,070億ウォン | 2,050億ウォン |
| 営業利益 | 1,950億ウォン | 2,230億ウォン | 2,500億ウォン |
前提の検証:
- 総額法の根拠【推定】: 2025年Q4の手数料192億ウォン、Q1 2025の173億ウォンはいずれも営業費用内の独立項目として計上されている。売上原価ゼロの構造。過去の四半期手数料率20〜22%は一貫して維持されている。
- ASP 83,500ウォンのクロス検証: サムスン証券〜80,000ウォン、メリッツ〜84,000ウォン、Alinea Analytics 50ドル(約73,000ウォン、総額/純額不明)。中間値での収束を確認。
- 開発費の費用処理【推定】: 3期連続の営業赤字(2023〜2025年)=開発費が毎期P&Lに反映済み。無形資産内の開発費残高は軽微。リリース後の大規模償却負担なし→売上が高い割合で営業利益に直結する構造。
コンセンサスとのギャップ:
| 証券会社 | Q1売上予想 | Q1営業利益予想 | 当社予想との乖離 |
|---|---|---|---|
| NH投資証券(アン・ジェミン) | 2,106億ウォン | 786億ウォン | 50%下回る(300万本ベースの旧推計) |
| メリッツ証券(イ・ヒョジン) | 4,775億ウォン | 2,752億ウォン | 上限値 |
| 当社予想(ベース) | 4,300億ウォン | 2,230億ウォン | — |
NH推計は最も広く参照されているが、3月25日時点(300万本)のデータを基にしており、すでに陳腐化している。5月7日の決算発表では、NH推計対比で売上約2倍・営業利益約3倍という数値が示され、コンセンサスの大幅修正を迫ることになる。
アーギュメント2:500万本達成は確実、600万本への道は開かれている
販売トレンド:
| 区間 | 期間 | 販売本数 | 日次平均 |
|---|---|---|---|
| 0→200万本 | 1日 | 200万本 | 200万本/日 |
| 200→300万本 | 4日 | 100万本 | 25万本/日 |
| 300→400万本 | 8日 | 100万本 | 12.5万本/日 |
| 400→500万本 | 約10日【推定】 | 100万本 | 約10万本/日 |
500万本達成の根拠:
- 3月27日の株主総会でCEOが「500万本達成を近日中に発表する」と言及
- 海外メディア KitGuru が500万本突破を報道(4月1日頃)
- 4月6日(週末)のSteam最高同時接続数が236,253——ATHの85%を維持
- PS5ダウンロードランキング:米国・カナダ2位、アジア1位(3月)
4月中の600万本シナリオ:
現在の日次販売推定 7〜10万本 × 残り約22日 = 追加154〜220万本。500万本ベースから、4月末までに620〜720万本が射程圏内。
追加カタリスト:
- 中国の清明節(4月4〜6日)後の口コミ波及効果
- 中国の売上シェアは10%未満——中国市場は実質的に未開拓
- Steam全体レビューが「非常に好評」(〜85%)で安定し、新規購入者の心理的障壁が低下
600万本達成時のQ2インパクト:
Q2新規販売〜200万本 × ASP 83,500ウォン = Crimson Desert Q2売上〜1,670億ウォン。既存事業〜950億ウォンを加えると、Q2売上〜2,600億ウォン、営業利益〜1,100億ウォン【推計】。
アーギュメント3:57,400ウォンはファンダメンタルズ対比で過度な割引水準
株価の推移:
| 日付 | 株価 | イベント |
|---|---|---|
| 1月7日(52週安値) | 29,000ウォン | リリース前の悲観論 |
| 3月19日(リリース日) | 約55,000ウォン | 期待値の織り込み完了 |
| 3月20日(D+1) | ストップ安 | Metacriticが期待外れ+AIアセット論争 |
| 3月25日 | +23%急騰 | 300万本突破+パッチ対応の確認 |
| 4月1日(52週高値) | 77,400ウォン | 400万本、非常に好評、ブロックバスター確定 |
| 4月8日(現在) | 57,400ウォン | マクロ売り(中東緊張・原油高)+投資警告+利益確定 |
4月1日〜4月8日にかけての-26%の下落を分解すると:
- マクロ要因:KOSPI -3%暴落(4/3)、中東緊張、原油価格急騰——ゲーム株は過剰反応しやすい
- テクニカル要因:投資注意指定(4/1)、5日で60%超の上昇後に投資警告が予測されていた
- ファンダメンタルズの変化:ゼロ。 Crimson Desertの販売本数もCCUも引き続き堅調
したがって、57,400ウォンはマクロ・テクニカル要因による一時的な割引水準であり、ファンダメンタルズの劣化を反映したものではない。Q1決算(ファンダメンタルズの錨)が確認された後の収斂価格は、ベースケースで65,000〜72,000ウォンとなる。
バリュエーション・マトリクス:
| PER 10倍 | PER 12倍 | PER 13倍 | PER 14倍 | PER 16倍 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業利益 3,500億ウォン | 42,600 | 51,100 | 55,400 | 59,700 | 68,200 |
| 営業利益 4,000億ウォン | 48,700 | 58,400 | 63,300 | 68,100 | 77,900 |
| 営業利益 4,200億ウォン | 51,300 | 61,500 | 66,600 | 71,800 | 82,000 |
| 営業利益 4,500億ウォン | 54,800 | 65,800 | 71,200 | 76,700 | 87,700 |
57,400ウォンは、営業利益4,200億ウォンベースでPER 11.2倍——韓国ゲームセクター平均の12〜15倍に対して明確に割安な水準だ。
アーギュメント4:600万本超でIPエクスパンションのロードマップが視野に入り、マルチプル再評価の前提条件が整う
CEOの3月27日株主総会発言の戦略的解釈:
CEOは、追加コンテンツの拡充を通じて有料DLCよりもまずベースゲームの販売を伸ばす戦略を優先すると述べた。これはカプコンの「モンスターハンター」モデル(無料大型アップデートによるベースゲーム販売の第二波)を参照したものだ。短期的な有料DLC収益は先送りになるが、この戦略でIPのインストールベースを最大化することが長期的な狙いだ。
再評価のロードマップ:
| ステージ | 時期 | イベント | PERへの影響 |
|---|---|---|---|
| Stage 1 | 現在 | パッケージゲームの一時的収益 | 10〜12倍(KOSDAQゲーム株の下限) |
| Stage 2 | 2026年下半期 | 無料大型アップデートによるベースゲーム再購入の第二波 | 12〜14倍(収益持続性の確認) |
| Stage 3 | 2027年以降 | 有料DLC/拡張コンテンツ+マルチプレイヤー | 14〜18倍(継続収益モデルへの移行) |
| Stage 4 | 時期未定 | Switch 2移植+クロスプラットフォーム展開 | インストールベースの追加拡大 |
重要な制約: CEOは有料DLCを当面は実施しないと明言している。Stage 3への移行は早くとも2027年以降だ。現時点でマルチプル再評価を過度に織り込むのは時期尚早——600万本超は「前提条件の形成」であり、「マルチプル転換の確定」ではない。
アーギュメント5:Switch 2移植+コンソール拡大がオプション価値として存在する
CEOは3月27日の株主総会でSwitch 2移植のR&D開始を確認した。Switch 2の2026年末時点の予想グローバル累計台数(数千万台規模)を考えると、移植が成功すれば追加200〜300万本の可能性が開ける。
現時点では【推測】の域を出ず、当社のバリュエーションには反映していないが、正式発表があればPER +1〜2倍の上値材料となり得る。
2. 販売データ&業績分析
2-1. Crimson Desert 販売データ【事実ベース】
| 日付 | 累計販売本数 | Steam CCU | 備考 |
|---|---|---|---|
| 3月20日(D+1) | 200万本【事実】 | 248,530 | 24時間以内に達成 |
| 3月24日(D+4) | 300万本【事実】 | — | BEP突破と推定 |
| 3月29日(D+10) | 約370万本【推定】 | 276,261(ATH) | パッチ後のリバウンド |
| 3月31日(Q1締め) | 約390万本【推定】 | — | 会計上の締め日 |
| 4月1日(D+12) | 400万本【事実】 | — | 公式発表 |
| 4月1〜2日 | 500万本【事実・KitGuru報道】 | — | 公式確認待ち |
| 4月6日(現時点推定) | 約500〜530万本【推定】 | 236,253(週末ピーク) | CCUベースの外挿 |
2-2. Steam レビュートレンド【事実】
| 時期 | グローバル | 簡体字中国語 | 備考 |
|---|---|---|---|
| リリース直後 | 賛否両論(〜65%) | 〜27% | 操作性・UI論争 |
| 3月29日パッチ後 | 非常に好評(〜82%) | 〜60% | 最初の逆転 |
| 4月3日時点 | 非常に好評(〜85%) | 〜70% | 二度目の逆転、安定化 |
2-3. CCU リテンション——シングルプレイヤーとして異例の粘り
| 日付 | 24時間ピークCCU | ATH比リテンション | 備考 |
|---|---|---|---|
| 3月20日(リリース) | 248,530 | 90% | — |
| 3月29日(D+10) | 276,261 | 100%(ATH) | パッチ後の新規流入 |
| 4月4日(D+16) | 232,044 | 84% | 平日含む |
| 4月6日(D+18) | 236,253 | 86% | イースター週末 |
| 4月7日(D+19) | 169,822 | 61% | 週末クロージング参考値 |
比較として:多くのシングルプレイヤーAAAタイトルは2週間以内にピークCCUが30〜50%まで落ち込む。Crimson Desertの85%リテンションは異例の数値であり、プレイ完了に70時間超を要するゲームボリュームがその主因と見られる。
2-4. プラットフォーム別売上構成【推定】
| プラットフォーム | 売上シェア | 根拠 |
|---|---|---|
| Steam(PC) | 約45% | 最大のグローバル流通チャネル |
| PS5 | 約38% | Alinea Analytics:$75M/$200M |
| Xbox Series | 約12% | Xboxセールスランキング2位 |
| Epic/Mac/その他 | 約5% | 軽微 |
PS5シェアの約38%は想定を上回る水準だ。韓国のゲーム会社でこれほどのコンソール実績は前例がなく、証券会社のモデルがコンソール収益を系統的に過小評価している可能性がある。
2-5. 2026年Q1 P&L予想——営業費用の詳細
| 項目 | 2025年Q4実績 | 2025年Q1実績 | 2026年Q1予想(ベース) | 前提 |
|---|---|---|---|---|
| 人件費 | 507億ウォン | 490億ウォン | 545億ウォン | リリース後のオペレーション・QA要員 |
| プラットフォーム手数料 | 192億ウォン | 173億ウォン | 880億ウォン | 既存180億ウォン+Crimson Desert 700億ウォン(手数料率21%) |
| 広告宣伝費 | 123億ウォン | 73億ウォン | 330億ウォン | グローバルAAAリリースキャンペーン |
| 減価償却費 | 59億ウォン | 63億ウォン | 65億ウォン | 安定的 |
| その他 | 158億ウォン | 90億ウォン | 250億ウォン | CS/サーバー/パッチ/物流 |
| 合計 | 1,039億ウォン | 889億ウォン | 2,070億ウォン | — |
手数料率クロス検証:2025年Q1 20.7%、Q2 22.8%、Q4 20.1% → 2026年Q1予想 20.5%(コンソールシェア増加をSteamのティア割引で相殺)。
2-6. 為替効果
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| Q1平均為替レート | 約1,464.8ウォン/USD |
| 3月31日期末レート | 1,513.4ウォン/USD |
| 海外売上比率 | 約85% |
| 売上への為替上乗せ効果 | +115億ウォン(2025年Q1ベースレート1,420ウォン比) |
| 営業利益への為替上乗せ効果 | +80〜90億ウォン |
2-7. 2026年通期シナリオ
ベースケース(年間販売780万本):
| Q1予 | Q2予 | Q3予 | Q4予 | 2026年通期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| Crimson Desert 新規販売 | 400万本 | 200万本 | 100万本 | 80万本 | 780万本 |
| Crimson Desert 売上 | 3,340億ウォン | 1,500億ウォン | 800億ウォン | 600億ウォン | 6,240億ウォン |
| 既存事業売上 | 960億ウォン | 950億ウォン | 920億ウォン | 950億ウォン | 3,780億ウォン |
| 売上高合計 | 4,300億ウォン | 2,450億ウォン | 1,720億ウォン | 1,550億ウォン | 10,020億ウォン |
| 営業利益 | 2,230億ウォン | 1,050億ウォン | 570億ウォン | 350億ウォン | 4,200億ウォン |
| 営業利益率 | 51.9% | 42.9% | 33.1% | 22.6% | 41.9% |
ブルケース(年間販売900万本、Switch 2は除く):
| 2026年通期 | |
|---|---|
| Crimson Desert 販売本数 | 900万本 |
| 売上高合計 | 1兆1,000億ウォン超 |
| 営業利益 | 4,800億ウォン超 |
| EPS | 約5,800ウォン |
| 適正株価(PER 14倍) | 81,200ウォン |
3. バリュエーション
3-1. グローバルピア比較
| 企業 | 時価総額 | 2026年予想PER | EV/EBITDA | 種別 |
|---|---|---|---|---|
| Capcom | 約150億ドル | 約22倍 | 約16倍 | 継続IP(MH Wilds) |
| CDPR | 約100億ドル | 約35倍 | 約25倍 | Witcher 4開発中 |
| Krafton | 約110億ドル | 約12倍 | 約9倍 | PUBG、コリアディスカウント |
| Netmarble | 約35億ドル | 約15倍 | 約10倍 | RF Next |
| パール・アビス | 3兆6,100億ウォン | 約11倍 | 約8倍 | Crimson Desert ヒット、KOSDAQ |
パール・アビスはピア比較で最も低いマルチプルで取引されている。主な理由:①KOSDAQのリスティングディスカウント、②外国人持株比率5.6%——極めて低水準、③パッケージゲームの一時収益構造に対するディスカウント。
3-2. 適正PERの導出
| シナリオ | PER | 根拠 | 適正株価 |
|---|---|---|---|
| ベア | 10倍 | KOSDAQゲーム株の下限、ガバナンスディスカウントが継続 | 51,300ウォン |
| ベース | 13倍 | 韓国ゲーム平均の下限、海外資金の緩やかな流入 | 66,700ウォン |
| ブル | 16倍 | Capcomディスカウント解消、KOSPI転換上場モメンタム | 82,000ウォン |
EPS 5,130ウォン × 目標PERに基づく。ベースを14倍ではなく13倍に設定したのは、ガバナンス課題(監査委員会の不在、監督機能スコア14/45、外国人持株比率5.6%)が未解決のため、14倍超の正当化が困難なためだ。
3-3. EV/EBITDA クロスチェック
- 2026年予想EBITDA:4,200億ウォン(営業利益)+260億ウォン(減価償却費)=4,460億ウォン
- 推定ネットキャッシュ:約5,000億ウォン(2025年末時点〜3,000億ウォン+Q1営業CF〜2,000億ウォン)【推計】
| シナリオ | EV/EBITDA | 適正EV | 適正時価総額 | 適正株価 |
|---|---|---|---|---|
| ベア | 7倍 | 3兆1,200億ウォン | 3兆6,200億ウォン | 56,400ウォン |
| ベース | 9倍 | 4兆100億ウォン | 4兆5,100億ウォン | 70,200ウォン |
| ブル | 12倍 | 5兆3,500億ウォン | 5兆8,500億ウォン | 91,000ウォン |
3-4. 収斂レンジ
| 手法 | ベア | ベース | ブル |
|---|---|---|---|
| PERベース | 53,900 | 66,700 | 82,000 |
| EV/EBITDAベース | 56,400 | 70,200 | 91,000 |
| 平均 | 53,900 | 68,500 | 86,500 |
現在株価 57,400ウォン比:ベース +19%、ベア -6%、ブル +51%
3-5. 主要変数の感応度分析
| 変数 | ベース前提 | 変化幅 | 年間営業利益への影響 | 適正株価への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 年間販売本数 | 780万本 | +/-100万本 | +/-650億ウォン | +/-10,000ウォン |
| 会計上のASP | 83,500ウォン | +/-5,000ウォン | +/-400億ウォン | +/-6,000ウォン |
| 手数料率 | 21% | +/-2%p | +/-200億ウォン | +/-3,000ウォン |
| 広告宣伝費(年間) | 590億ウォン | +/-150億ウォン | -/+150億ウォン | +/-2,300ウォン |
| 適用PER | 13倍 | +/-2倍 | — | +/-10,300ウォン |
| DLC発表 | 未反映 | 発表があれば | 2027年以降の収益可視化 | PER +2〜3倍 |
| KOSPI転換上場 | 未反映 | 実施があれば | パッシブ資金の流入 | PER +3〜5倍 |
4. ガバナンス&構造的要因
4-1. 株主構成
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 筆頭株主 | キム・デイル他(10名)37.2〜44.2% |
| 取締役会 | 6名(社内4名・社外2名) |
| 監査委員会 | 不在 |
| 監督機能スコア | 14/45(最低水準) |
| 外国人持株比率 | 5.57%(Krafton 42.4%、NCSoft 34.8%と比較) |
4-2. 自己株式&商法改正の影響
- 保有数量:2,828,000株(4.4%)、現在株価で約1,624億ウォン相当
- 商法第3次改正(2026年3月6日施行):既存自己株式の18ヶ月以内強制消却
- 消却期限:2027年9月6日(株主総会で保有継続を決議した場合は例外)
- 消却効果:1株当たり価値 +4.6%
4-3. ガバナンスのバリュエーションへの影響
外国人持株比率5.6%はゲームピア比較で最低水準だ。これは単なる「無関心」ではない——監査委員会の不在と最低水準の監督スコアは、MSCIや世界のパッシブファンドの組入れ基準を満たしていない。
PER 14倍超を正当化するための前提条件:
- 監査委員会の設置
- 社外取締役比率の引き上げ
- 自己株式消却の株主総会決議(2027年)
- またはKOSPI転換上場の推進
これらのうちいずれか一つが実現すれば、PER +2〜3倍の上値余地が開く。
6. トレーディング戦略
6-1. ポジション構築:段階的エントリー
| ステージ | ウェイト | 条件 | 株価 |
|---|---|---|---|
| 第1弾エントリー | 30% | 現在のKRW 55,000〜58,000レンジ | KRW 57,400 |
| 第2弾追加 | 30% | 500万本公式発表+平日CCU 15万人超 | KRW 55,000〜62,000 |
| 第3弾フル | 40% | 5/7 Q1決算:クリムゾンデザート売上高KRW 300B超を確認後 | 決算後 |
6-2. エントリー根拠
KRW 57,400はQ1営業利益KRW 200BベースのPER 11倍に相当する。ベアケース(PER 10倍、KRW 51,300)に近い水準であり、決算サプライズ確認時の再評価余地は十分に残されている。現在の株価に織り込まれたマクロ割引は、ファンダメンタルズ対比で過剰である。
6-3. 撤退条件(テーシス崩壊シグナル)
- Q1クリムゾンデザート報告売上高がKRW 250B未満 — ネット方式または過剰返金
- Q1 OPMが40%未満 — コスト構造の見誤り
- 4月末時点のSteam 24時間ピークCCUが10万人未満 — ロングテール仮説の崩壊
- 会社が事業無関連の大型M&Aを発表 — ガバナンスリスクの顕在化
- CEOが**増資(株主割当増資・CB)**を発表 — 財務構造への懸念
6-4. モニタリング指標
| 指標 | 頻度 | 閾値 | 情報源 |
|---|---|---|---|
| Steam 24時間ピークCCU | 日次 | 15万人以上(ポジティブ)、10万人未満(警戒) | SteamDB |
| Steamグローバルレビュー | 週次 | 「非常に好評」維持 | Steam |
| PS5月次チャート順位 | 月次 | トップ10維持 | PlayStation Blog |
| 中国Steam販売ランキング | 週次 | トップ20維持 | SteamDB |
| 500万本・600万本公式発表 | 随時 | CEO・公式SNS | Pearl Abyss |
| 証券会社目標株価変更 | 随時 | 上昇トレンド継続 | 各社レポート |
7. 主要不確実性&未確定事項
以下の項目は投資テーシスの確信度に直結するが、現時点では検証不能。5/7 Q1決算での解消を見込む。
| 項目 | インパクト | 解消時期 |
|---|---|---|
| 会計監査報告書の注記(グロス・ネット最終判定) | 最重要 — 売上高の表示方法を左右 | 5/7決算 |
| Q1返金率と純売上高調整 | 高 — 認識本数±20万本の差 | 5/7決算 |
| プラットフォーム別販売構成(Steam・PS5・Xbox) | 中 — ASP精度に影響 | 5/7決算またはIR |
| 3/31時点の会計上認識本数 | 高 — Q1売上高±KRW 15B | 5/7決算 |
| Q1マーケティング費用の実際執行額 | 中 — 営業利益±KRW 10B | 5/7決算 |
| 開発費資産計上残高(無形資産注記) | 高 — 償却負担に影響 | 有価証券報告書 |
8. ポートフォリオマネージャーの最終コメント
この投資の本質は情報の非対称性への賭けである。Q1業績はすでに確定しており、その規模はアナリストの大半の予測を約2倍近く上回る可能性が高い。市場はPearl Abyssを「400万本ゲームの銘柄」として捉えているが、実態は韓国ゲーム史上最高水準となる単四半期営業利益KRW 200B超を計上しつつある企業だ。
KRW 57,400は、マクロ割引(中東情勢、投資注意喚起)が重なった一時的な株価であり、ベアケース水準のPER 11倍付近で取引されている。ただし、二つの構造的制約については冷静に認識しておく必要がある。
第一に、これはパッケージゲームである。CEOは有料DLCより無料パッチを優先する方針を宣言しており、マルチプル再評価(一時収益から継続収益へ)は少なくとも1年先の話だ。PER 16倍以上を正当化するには、さらなる根拠が必要である。
第二に、ガバナンスは構造的な割引要因である。外国人持株比率5.6%、監査委員会の不在、最低水準のガバナンス格付けは、グローバル資本流入の構造的障壁となっている。これが解消されない限り、Krafton・Capcomレベルのマルチプルは望めない。
結論:現在の株価は魅力的であり、初期エントリーに適した水準だ。ただし、5/7決算確認後にポジションを半分追加する段階的エントリーが望ましい。Q1営業利益がKRW 200Bを超えた場合はKRW 65,000〜72,000レンジへの収束が見込まれ、600万本+コンテンツロードマップが実現すればさらなる上値を狙える。
9. エビデンス分類(付録)
【ファクト】
- グローバル累計販売400万本(4/1公式発表)
- 売上高〜$200M、PS5 $75M(Alinea Analytics推計)
- Steam過去最高同時接続数(ATH CCU)276,261人(3/29)
- 4/6週末ピークCCU 236,253人(ATH比85%)
- 4/8株価 KRW 57,400、時価総額 KRW 3.61T、52週レンジ KRW 29,000〜77,400
- 2025年Q4:売上高 KRW 95.5B、営業利益 -KRW 8.4B、人件費 KRW 50.7B、外注費 KRW 19.2B、広告費 KRW 12.3B
- 2025年Q1:売上高 KRW 83.7B、営業利益 -KRW 5.2B、海外売上比率80%
- CEO 3/27株主総会:「500万本は早期に発表する」、DLCより無料パッチを優先、Switch 2向け研究開発開始
- PS5ダウンロードチャート3月:米国・カナダ2位、アジア1位
- Steamグローバルレビュー「非常に好評」(〜85%)、簡体字中国語〜70%
- 自己株式 282.8万株(4.4%)、会社法改正による消却期限 2027年9月6日
- 中国市場シェアは全体の10%未満(証券会社推計)
- メリッツ証券 目標株価 KRW 100,000、NH投資証券 目標株価 KRW 51,000
- Q1平均為替レート〜KRW 1,464.8/USD、期末レート KRW 1,513.4/USD
【推論】
- Q1認識本数〜390〜400万本、報告売上高〜KRW 400〜430B
- Q1営業利益〜KRW 195〜250B(グロス方式+開発費費用処理を前提)
- 500万本到達は4/1〜4/2頃(KitGuruレポート+CEO発言と整合)
- 現在の日次販売数は7〜10万本(CCU維持率+コンソールチャート順位から外挿)
- 4月中に600万本到達する確率は60%以上
- プラットフォーム手数料率〜20〜22%(過去四半期データとのクロス検証)
- PS5シェア〜38% — 韓国デベロッパーとして異例のコンソール好調
- 開発費は費用処理(3年間の赤字パターン、無形資産開発費残高が軽微)
【仮説】
- 2026年通期営業利益予想 KRW 420B、EPS KRW 5,130
- 理論株価ベースケース KRW 68,500(PER 13倍 / EV/EBITDA 9倍の収束値)
- 中国Douyin(抖音)でのバイラルが構造的なQ2販売ドライバーに
- Switch 2移植で200〜300万本の上乗せ余地
- 2027年自己株式消却で1株あたり価値 +4.6%
- 純現金〜KRW 500B(Q1営業CFインフロー後)
- Q2営業利益 KRW 105B(600万本シナリオ基準)
【未確定】
- 会計監査報告書の注記(グロス・ネット最終判定)
- Q1返金率と純売上高調整
- プラットフォーム別販売構成(Steam・PS5・Xbox)
- 3/31時点の会計上認識本数
- Q1マーケティング費用の実際執行額
- 開発費資産計上残高(有価証券報告書注記)
- 500万本公式発表の正確なタイミングと日程
免責事項:本分析は情報提供のみを目的としており、投資助言を構成するものではありません。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。投資判断を行う前に、必ずご自身でデューデリジェンスを実施してください。