リスクオフ相場での韓国株選別戦略――4月第1週のテーマ銘柄を読む

リスクオフ局面が続く韓国市場で、外国人投資家が注目すべき選別銘柄と局面判断を解説。LGイノテック、パールアビスなど主要テーマを分析する。

拡散より選別へ――韓国市場の現在地

韓国株式市場は今週、「上がる銘柄は上がるが、市場全体は広がらない」という選別相場の色を強めている。独自のスクリーニングシステムで韓国・米国の統合基準を通過した銘柄数は、直近で120銘柄から79銘柄へと約3割減少した。これは市場の広がりが失われ、一部の強い銘柄への資金集中が進んでいることを示すシグナルだ。

マクロ環境も楽観を許さない。ホルムズ海峡をめぐる地政学的緊張は一部緩和の兆しを見せているものの、エネルギー供給の正常化が確定したわけではなく、原油価格の再上昇リスクは高ベータ株・成長株にとって引き続き警戒材料となる。また、ウォン・ドル相場と外国人の需給動向は、サムスン電子(005930.KS、韓国最大の半導体・スマートフォンメーカー)をはじめとする大型株の方向性を左右する核心変数であり、外国人の本格的な買い戻し確認なしに大型株のコアポジションを積み増すのは時期尚早と判断される。

こうした局面では、新たなアルファを追うよりも「既存の勝者を管理し、弱いポジションを整理する」ことが優先される。


注目テーマ1:LGイノテック――光学・基板・車載の三重奏

**LGイノテック(011070.KS)**は、LGグループ傘下の電子部品メーカーで、スマートフォン向けカメラモジュール、半導体パッケージ基板、車載電装部品を主力とする。今週最も自然な「ローテーション候補」として浮上している。

強気の根拠は明確だ。1Q26(2026年1月〜3月期)の業績プレビューが上方修正されており、光学部品・基板・電装の3セグメントが同時にアップグレードを受けている。需要の多様化という観点からも、特定顧客依存リスクを分散する構造変化が評価されている。

一方、最大のリスクは北米主要顧客(アップル向け需要を指すとみられる)の需要鈍化だ。この懸念が具体化すれば投資テーゼは急速に揺らぐ。エントリーの目安は20日移動平均線のサポート確認、または1Q26業績プレビューの追加上方修正が条件となる。


注目テーマ2:パールアビス――ゲームセクターの相対的強者

**パールアビス(263750.KS)**は、オープンワールドRPG『黒い砂漠』で知られる韓国のゲームデベロッパーで、グローバルPC・コンソール市場向けにAAA級タイトルを展開している。

直近3〜10営業日にわたって外国人・機関投資家の同時流入が継続しており、韓国市場における相対強度は1位を維持している。この「需給の質」の高さが最大の強みだ。

ただし、すでに大きく上昇しているイベント型資産であることを踏まえると、ここからの追加買いより「トレンドの継続確認」を優先すべき局面にある。10日移動平均線の上方維持と、外国人・機関の買い継続を確認できた場合のみ、小幅な積み増しを検討する余地がある。逆に10日線を割り込み、同時接続数・レビュー動向・需給の三点が悪化すれば、テーゼの見直しが必要だ。


注目テーマ3:NH投資証券――ブローカレッジの配当再評価

**NH投資証券(005940.KS)**は、農協系列の大手証券会社で、リテール・IB・資産管理を手がける。今週は既存保有のキウム証券(039490.KS)の代替候補として浮上している。

強気論は二層構造だ。1Q26の純利益見通しの堅調さに加え、高配当政策とIMA(個人向け特定金銭信託)制度拡充というオプション価値が同時に乗っている。韓国証券業界では制度変更が株価リレーティングの触媒になりやすく、この点がキウム証券より優位な点とされる。

弱気シナリオは取引代金の鈍化と制度期待の後退だ。進捗確認なしにポジションを先行して積み上げるのは避けたい。


注目テーマ4:RFHIC――GaN半導体で防衛・通信・衛星を狙う

**RFHIC(218410.KS)**は、GaN(窒化ガリウム)系パワーアンプを手がける韓国の半導体専門企業で、5G通信インフラ、防衛エレクトロニクス、衛星通信向けに部品を供給している。

受注モメンタムと技術ポジショニングの観点では魅力的だが、足元では期待が株価に先行した状態にある。過熱解消後の「押し目」局面で取引量が再増加するタイミングが、エントリーの現実的な条件となる。追いかけ買いは現時点でリスク・リワードが悪化しており見送りが賢明だ。


サムスン電子と大型株の扱い

**サムスン電子(005930.KS)**については、1Q26のメモリ・HBM(高帯域メモリ)に関する業績上方修正期待が複数のアナリストレポートで再確認されている。ファンダメンタルズの方向性は悪くない。

しかし外国人投資家の本格的な再流入が確認されていない現時点では、コアポジションの追加には慎重な姿勢が求められる。少なくとも3営業日連続での外国人ネット買いを確認してから対応を検討するのが合理的だ。


来週へのチェックリスト

韓国市場を追う投資家が来週確認すべきポイントを整理する。

価格・テクニカル

  • パールアビス:10日移動平均線の維持
  • LGイノテック:20日移動平均線でのサポート
  • サムスン電機(009150.KS、スマホ部品・MLCCメーカー):新規エントリー後のフォロースルー

需給

  • サムスン電子:外国人の継続的な買い戻しフロー
  • SK telecom(017670.KS)・エスティファーム(041910.KS、CDMO医薬品受託製造):弱気継続か反転か

マクロ・イベント

  • ホルムズ海峡情勢の再悪化リスク
  • 証券セクターの1Q26業績プレビュー追加上方修正の有無

結論:強い銘柄を追わず、次の強者を待つ

今週の韓国市場が投資家に示した教訓は明快だ。「すでに動いた銘柄を追いかけることがリスクになる局面がある」ということだ。パールアビスやサムスン電機のように上昇している銘柄への追加買いより、LGイノテックやNH投資証券のように「条件が揃えば入れる」候補を整備しておくことが、リスクオフ局面での合理的なスタンスといえる。

韓国市場は現在、マクロのノイズと個別の強さが混在する難しい局面にある。しかし選別の精度を上げることで、こうした環境こそが次のアウトパフォームの種になる。スクリーニング通過銘柄数の推移と外国人フローの方向性を引き続き注視したい。

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